彦松志朗の日記

ピアノへの思いと、日々のモヤモヤに対する考察

リパッティとの出会い

ディヌ・リパッティというピアニストの存在を知ったのは今から20年ほど前のことである。「主よ、人の望みの喜びよ」のピアノ曲を探していたときに、セール品で見つけたのがリパッティのCDだった。

 

リパッティの演奏を聴いて思うこと。それは、ピアノを弾くためにこの世に生を受けたに違いないということだ。当時の録音状況の影響なのかもしれないが、ピアノをあまり響かせず、しかしながら、ピアノ本来の素朴で優しい音色を最大限に引き出す演奏をしている。きっと、演奏家自信も優しい気持ちの持ち主で、ピアノを弾くことに喜びを感じているんだろうなということが伝わる演奏である。

 

当時買ったリパッティのCDはかなり前に古本と一緒にリサイクル店に売ってしまった。後になって、リパッティのCDを手放したことを悔やんだが、その時は少しでもお金が必要だったので仕方がなかった。

 

最近になって、リパッティの演奏を聴きたくなり、つい先日「ブザンソン音楽祭リサイタル」のCDを買った。最初に聴いたときと変わらない、素朴で優しくて、それでいてきれいな水で研ぎ澄まされたような演奏だった。

 

特に、収録されているワルツ嬰ハ短調はこれまでに聴いた中で、まさに珠玉と言える演奏だった。このCDはこの先も手放すことなく持っていよう。